特集 難削材の微細・精密加工技術の最新動向 難削材の小径加工事例|碌々産業株式会社|高精度高速小径微細加工機、特殊加工機、プリント基板加工機の製造・開発

 

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特集 難削材の微細・精密加工技術の最新動向 難削材の小径加工事例 機械技術 2013年4月号掲載

1.はじめに

近年、ものづくりがますます、小型化・軽量化・微細化に進んでいる。特に、電子機器、航空宇宙産業、燃料電池産業、医療機器分野においては、精密部品の高精度化への要求が顕著になっており、軽量・高強度・耐熱性のある難削材への加工の要求が高まっている。
チタン合金やインコネル材に代表される難削材は、高温強度が大きく、加工硬化を生じやすく、熱伝導性が悪い。これらの特徴により、切削熱が工具に蓄積し、工具寿命が短くなり、切削抵抗が高いことにより仕上げ面が悪くなる傾向にある。
この問題をいかに解決するかが加工のポイントである。
冷間鍛造、順送金型など厳しい条件で使用される金型は、ハイサイクル化が求められ、ハイス鋼から超硬合金へ、また加工方法も放電加工から直彫り加工への転換のニーズがよく聞かれる。
そこで、本稿では、難削材への切削事例として、インコネル材への穴明け加工実例、チタン合金への5軸加工実例及び超硬加工への3次元直彫り加工実例を紹介する。

2.インコネル材への穴明け加工実例

インコネル材は、ニッケルをベースとし、鉄、クロム、モリブデン等の合金元素の差異によってインコネル600、インコネル625、インコネル718、インコネル750と様々な物に分けられるが、今回は、インコネル600材に対しての穴明け加工実例を紹介する。
現在、難削材の加工は、一般的にφ6.0以上の工具を使用しての部品が多いと言われているが、今後は、航空部品や燃料電池の小型化に伴い、小径工具を使用しての部品が必須になる事が予想される。
本加工では、そのような背景からφ0.5からφ12までの小径から太径までの加工に挑戦した。加工ワークを写真1及び写真2に示す。
加工機は、「ツイン駆動方式大型高速加工機 ZEUS-86」を用いた。本加工機は、最大トルク29Nm、最高回転数25,000min-1を両立し、ホルダには保持剛性が高く高バランスのHSK-E50を採用した高性能主軸を搭載している。
工具は、OSG製のVPH-GDSドリルを採用し、切削油は、不水溶性切削油を使用した。切削条件は、発熱を抑える為に周速10m/minと低速回転で加工を実施した。
その結果、φ0.5ドリルにおいても、深さ2.5mmの加工を安定して連続で100穴加工可能であった。今後の難削材への小径穴明け加工のヒントとなる加工実例である。

インコネル穴明けワーク1インコネル穴明けワーク2
写真1:インコネル穴明けワーク②写真2:インコネル穴明けワーク①

3.チタン合金への5軸加工実例

チタン合金は、軽量、高強度且つ耐食性に優れた材料である為、航空機やロケットの部品から日常の生活用品まで幅広く使用される材料であるが、切削加工においては、高温強度が大きく、加工硬度を起こしやすい特性を持っている。
また、熱伝導性が極端に低い為、切削熱が工具先端に溜まりやすくなり、工具へのダメージが大きくなってしまう傾向がある。
今回、紹介する加工は、「高精度高速微細加工機 CEGAⅢ-542/5AXP」を使用し、チタン合金Ti-6Al-4Vに対する5軸加工実例である。加工ワーク及び加工風景を写真3及び写真4へ示す。

キストチタン合金5軸加工ワークチタン合金5軸加工風景
写真3:テキストチタン合金5軸加工ワーク写真4:チタン合金5軸加工風景

また、加工緒言を表‐1に示す。 本加工は、3軸加工でも可能であるが、工具突き出しが長くなり、ビビリが発生しやすく、難削材を切削する上で不利になりやすい形状である。5軸加工機を使用することで最低限の工具突き出し量にし、且つ、ビビリの発生しにくい日進工具製の不等リード、不等分割のエンドミルを用い加工を実施し、ビビリの無い仕上げ面を得る事ができた加工実例である。

表1.チタン合金5軸加工 加工緒言
チタン合金5軸加工風景

4.超硬合金への切削事例

現在、一般的には超硬合金の加工は、放電加工、ワイヤー放電加工、研削加工によって行われているが、実加工時間や段取り替え時間等を含むリードタイム、電極消耗が大きく形彫放電電極の製作が難しく、仕上がり面にできる放電変質層(クラック)除去の為の磨き時間が掛かる等、トータルな加工コストの低減が課題となっている。
そこで、超硬合金への直彫りへの転換が期待されている。
近年、工具の発達が目覚しく、電着砥石、PCD、ダイヤコーティング、単結晶ダイヤ等さまざまな工具が発売されているが、それらの性能を充分発揮して前述の転換を実現する為には動的振れ精度の高い高速高剛性の主軸を具備した追従性の高い高精度位置決め精度の微細加工機が必要不可欠である。

4.1 超硬合金への高能率加工サンプル

写真5は、ベアリングをモチーフにした超硬金型への直彫り加工に挑戦したサンプルである。超硬材は、シルバーロイ製のG3(90HRA)で、工具は、ユニオンツール製のダイヤモンドコートエンドミルを使用した。
この工具の特徴は、超硬に対する最適な刃形状と最適なコーティングにより、深切込みができる事であり、単位辺りの除去量が大きく取れ、高能率に加工できる事が最大の特徴である。
加工機は、深切込みにて加工を実施する為、高剛性の主軸を搭載したCEGAⅢにて加工を実施し、荒加工、仕上げ加工共にR0.5ボールエンドミルを使用した。加工に要した時間は、荒加工から仕上げ加工までを約33分で直彫り加工ができ、磨き時間を入れても5.5時間となったが、放電加工では、約20時間の時間を要しており、リードタイムの大幅な削減が可能であった。
放電加工から直彫りに置き換える事でリードタイムの大幅な短縮のメリットが実証できた加工実例である。

超硬材への高能率加工サンプル
写真5.超硬材への高能率加工サンプル

4.2 超硬合金への超鏡面加工サンプル

写真6は、超硬合金の3D形状での鏡面加工にチャレンジしたサンプルである。
超々微粒子超硬合金 AF-1 (92.5HRA)に対して、R2.0ダイヤコートエンドミルで荒加工を実施し、仕上げ加工は、R0.5の特殊工具を使用した。
超硬の鏡面仕上げを実施する為には、3D形状におけるサブミクロンレベルでの高追従性が必要であり、更には、高速回転域での動的フレが重要となってくる為、加工実施する機械は、リニア駆動による高追従性を実現し、高速回転域でも動的フレを最小限に抑え込んだ高性能スピンドルを搭載しているAndoridを用いた。
出来上がったサンプルは、3D形状での鏡面仕上がりを実現し、面粗度もシングルナノ(Ra10nm以下)を達成した。(図1.参照)

超硬材への鏡面加工サンプル
写真6.超硬材への鏡面加工サンプル


5.最後に

今後、更なる市場のニーズの多様化が進む中で、新技術の構築に取り組み、常に新しい提案を市場に行っていく所存である。