トップインタビュー 碌々産業 代表取締役 海藤満氏 生産財マーケティング 2014年6月3日掲載|碌々産業株式会社|高精度高速小径微細加工機、特殊加工機、プリント基板加工機の製造・開発

 

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トップインタビュー 碌々産業代表取締役 海藤満氏  日本物流新聞 2016年4月10日掲載


   微細加工分野で存在感を増す碌々産業。A社製スマートフォンの付属品であるイヤホンの金型製作では、かつて面粗さ(Ra)18ナノを実現する同社のマシン約30台が、アジアのEMS工場で数千の金型を一気に作り上げ、1ロット1億個とも言われる大量生産と、「耳につける部分は鏡面に」というハードな精度要求を満たした。
   さらに、このほど発表した最新機種(AndroidⅡ)は、3ナノの粗さまで進化したという。精密・微細分野に賭ける同社の狙いについて、海藤満社長に話を聞いた。


微細加工のリーダー企業を目指します

   ――微細穴や鏡面加工、先端分野に用途をしぼった機械開発で成功されています。
   海藤   おかげさまで昨年3月に恒温(23度±0.5度)の組み立てスペースを1.5倍に広げましたが、フル操業が続いています。ただ年間生産量は200台がせいぜい。引き続き大手量産メーカーとは違った、付加価値の高いマシン作りに専念することになります。

   ――大手が入ってきにくい超精密機を、丹念に作り上げるスタンスで一貫してますね。
   海藤   ええ。ただし非球面レンズ加工機など、超精密仕上げの領域だけを狙った機械とは違います。超精密専用機をF1レースカーとすれば、私どもが目指すのは公道を走る最速の車ですね。

   ――どこでも走れる、つまり汎用性があって応用も効く機械だと。
   海藤   超精密仕上げという単一機能のナノ機と違って、荒加工からナノレベルの仕上げまでオールマイティにこなす機械開発が当社の商品コンセプトです。ワンクランプで最終加工までもっていければ工程集約でき、段取り替えがない分、再現性も担保できます。この利点を活かしながら、ナノ専用機 ――およそ1億円しますが―― の領域の幾分かまで食い込めたらいいなというのが目下の野望ですね。(笑)

   ――新開発機でその野望が近づいたようです。
   海藤   その通り(笑)。今年2月から受注活動を始めた微細加工機の新製品「AndroidⅡ」は面粗さ(Ra)シングルナノを目指して開発したのですが、オプション仕様機(type-s)だと、3ナノまで実現できています。

   ――チャンピオンデータでなく、常時3ナノ?
   海藤   ええ。しかもスピンドルは定格4.1キロワットとパワーがあり、先ほど申し上げたように荒加工からこなせます。また標準タイプでも8~9ナノを出せます。

微細加工は広がる

   ――根本的な質問ですが、ナノレベルの加工が要求される分野は実際どれほどあるのか?そんなにない気もしますが…。
   海藤   これから増えるでしょうし、実際増えています。商売ネタをさらすことになるから具体的な話はご容赦いただきたいのですが…

   ――そう言わず許される範囲でお話し下さい(笑)。
   海藤   一つには意匠面からの要求ですね。金型の面粗さをシングルナノまでもっていければ、成形後の最終商品にまったく筋が出ません。まったく筋のないツルツルにしたいとの要望がセットメーカーにあり、シングルナノを出せる機械がニーズになる。また品質保証とも絡んで、人の手で磨くとバラツキが出るから、機械加工で最終精度まで追い込みたいとのニーズがあります。
   他方、樹脂金型のランナー(溶融した樹脂の通り道)を鏡面加工すれば、樹脂の流れがすむーずになり、成形時の品質が上がるとの認識が広まりつつあります。ランナーは手では磨きづらく、まさに微細加工機の出番です。似た点で、鍛造型の面精度をナノレベルに上げれば、ワーク全体にかかる負荷が一定し、品質向上ほか、型寿命の伸びが見込めます。


ランナー
ランナー(写真中央部のカーブを描く2つの溝)を
鏡面にすることで成形品の品質が上がるという。


   ――技術面もうかがいます。御社では微細加工は機械だけでは不十分、1)機械、2)切削工具、3)CAM、4)温度環境の4つが重要とされていますね。
   海藤   四位一体と呼んでいます。細かくいえば大切な要素はもっとありますが、基本はこの4つと、これら4つをコントロールするオペレーターの技量や経験知でしょう。特に現場で大事なのは温度を一定に保つことかもしれません。温度補正技術が様々生まれていますが、温度が変わるから補正するという、要は後追いになっていて、やはり基本は熱変位を避けるため、温度を一定に保つことが最重要と考えます。

   ――最後に、御社の機械の売り先はアジアにシフトしているようですが、微細加工機は、今後国内でも活発になると思いますか?
   海藤   おっしゃるように海外向けが65%と高くなっています。私どもがいう四位一体の環境づくりを高いレベルで実現されるアジアの工場は増えていますね。ただノウハウでは日本が上だし、超硬金型の材料などはアジアで入手しづらく、日本の加工業が活躍できる可能性は高いと思います。頭を切り替え、EMSや台・韓のメーカーと組むことだってできるはずです。そういうことにチャレンジされる国内製造業者さんにいろいろ提案しながら、いっしょになって成長できればと思います。